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2024.07.12
夏のアウトドアの定番といえば…、カヌーやカヤックです。静かに浮かぶ小舟の上で、大自然を全身で感じながらのんびりと過ごすことで、心も体もリフレッシュでき、安らぎと落ち着いた気持ちになりますよね。
さて、この記事では、そんなカヌーやカヤックの魅力はもちろんのこと、仕事や資格についても触れていきます。
【この記事はこんな方へおすすめです】
こんにちは!今回はi-nacの小野先生にカヤックについてインタビューして、その内容まとめました!
【目次】
みなさんがカヤックと聞いた時に想像するのは、色とりどりのボートに乗って、
水かきがついている漕ぐものを使って水の上を移動するスポーツだと思います。
それと同時にカヌーというスポーツも聞いたことがあると思います。
どちらも似たようなスポーツを想像すると思いますが、そもそもカヌーとカヤックの違いはなんでしょうか?
日本では水の上に浮かぶボートをパドル(櫂)と呼ばれる漕ぐものを使って、
進むものを総称としてカヌーと呼ぶことが多く、
その中にカヤックを含んでいる場合があります。
それぞれの違いは、ボートの形状もあるのですが、
水かきが
片側一つにしかついていないものを使用した場合はカヌー、
両側についているものを使用した場合はカヤック
と呼んでます。
つまり
(補足)
カナディアンカヌーと呼ばれる物は、単純にカヌーと呼ばれたりします。
日本国内には大きくわけて二つのカヌー・カヤックに関する協会があります。
この2つの協会はどちらもカヌー・カヤックに関わるインストラクターの資格を認定している組織で、日本におけるカヌー・カヤックの普及活動を行っています。
ここでそれぞれの協会についてもう少し詳しくお話ししていきます。
【日本セーフティパドリング協会】
Japan Safe Paddling Association 、略称JSPA(ジェイエスピーエー)
1988年から日本における安全なパドルスポーツ(カヌー、カヤック、SUPなど)の普及活動を行っており、自然環境との調和と健全な心身の発達を目的として、より多くの人に安全にカヌーを楽しんでもらうために指導者を通じて普及活動を行っている組織です。
【日本レクリエーショナルカヌー協会】
Japan Recreational Canoe Association 、略称JRCA(ジェイアールシーエー)
日本レクリエーショナルカヌー協会も同じくカヌーの普及活動を行っており、こちらの組織は、J C F日本カヌー連盟と協力して、国内におけるカヌー競技者の育成と生涯スポーツとしてのパドルスポーツの普及を行っている組織です。
要は、どちらの協会も
『安全にカヌーを楽しむ』
『カヌーの素晴らしさを普及する』
といったことを目的として活動している組織です。
i-nacでは、日本セーフティパドリング協会の「カヌー、カヤックが上達することで、安全に、そしてカヌー、カヤックの楽しさが伝わる。ということが実現できる」という理念とプログラムが確立しているように感じます。
そのため、i-nacでは、日本セーフティパドリング協会の
『安全管理』
『指導者としての姿勢・考え方』
に深く共感し、学生には、
日本セーフティパドリング協会のインストラクター資格取得を目指してもらっています。
日本セーフティパドリング協会が発行する資格は、いくつかの段階を設けています。
【ベーシックインストラクター】
まず入り口となるのがベーシックインストラクターという資格になります。
ベーシックインストラクターは、小さな湖やため池、海の入り江といった、湖面や海面が静かな場所で、かつ岸から近い限られたエリアのカヌー・カヤック体験の指導ができるかなり限定的な資格となります。
基本的にはカヌーやカヤックの漕ぎ方や楽しみ方を効果的に指導できる人を認定する資格になっています。
【アドバンストインストラクター】
さらに先にある資格で、アドバンストインストラクターがあります。
こちらは、湖面や入り江などの静かな海面という条件は変わらずに少し岸から離れた場所など様々な環境下で、
ゲストをご案内したり、安全管理といった点で、
さらに発展的なカヌーカヤックの操作技術と知識を共有し、指導できることを認める資格になっています。
【リバーガイド・シーガイド】
さらに先には、リバーガイドやシーガイドといった、川や海などフィールドに応じた専門的な場所で、お客様を安全にそして効果的にご案内できる資格があります。
こちらの資格は、静かな水面だけでなく、特殊なフィールドでも指導することができる指導員資格となっています。
※ 各インストラクター資格は、専門で乗るボートの種別によって資格が分けられています(例:リバーカヤック、カヌーなど)
指導員という意味では、上記のような区分を設定していて、それぞれの資格に応じ、運営できる公認スクールも変わります。
ベーシックインストラクターが運営できるスクールをB公認スクール
それ以上のインストラクターが運営できるスクールをA公認スクール
となります。
詳細に関しては協会のホームページをご確認ください。リンクはこちら
また、その他の協会も同じように、入り口となるインストラクター資格があり、その上に二段階、三段階と発展的な資格があります。
『カヌー・カヤックの資格』といっても様々なレベルがあることはわかりましたね。では、どのようにして資格取得ができるのでしょうか?
基本的な方法は
日本セーフティパドリング協会が主催する公認スクールに通い、指導員検定会を受講することで資格が取得できます。
主な内容としては、
知識課目(講習と筆記試験)、技術課目(実技)があります
の三点が能力として見られます。
その中でも、安全技術というのは、大きく分けて2つ存在し
という項目があります。
セルフレスキューは、その名の通り、自分で行うレスキュー技術を指します。
自分が転落してしまった時に岸までいくための技術だったり、もう一度自分でボートに乗るための技術です。
アシストレスキューは、お客様がボートから転落してしまった時に、もう一度ボートに乗せてあげたり、川のフィールドであれば、いち早く岸までガイドするといった技術です。
つまり、安全上のリスク管理にあたる部分を実技として行えるかを図るのが安全技術にあたります。
現状日本では、必ずしも資格がないと指導を行えないというわけではありません。
しかし、個人的には資格は持っていて欲しいと考えます。
理由は、カヤックやカヌーは水の上での活動であるため、死や怪我のリスクを伴うスポーツだからです。
残念なことに実際に死亡事故が発生しているのも現状です。
もし、資格を持っていない状態で、事故が起きてしまった場合、かなりの重い責任をインストラクターやガイドが負わなければいけないという事態になってしまいます。
資格を持っていない個人が責任を負うだけであれば影響は少ないと思うのですが、実態としては業界全体に影響を与えてしまいます。
そのため、より多くの方に楽しんでもらうためにも、
安全をしっかりと担保して、その中でカヌーやカヤックの素晴らしさを伝えていくことが非常に重要だと考えています。
また、資格を取得し協会に入ることで、技術や安全に関する情報共有を受けられるだけでなく、万が一事故を起こしてしまった際に様々なサポートを受けられます。
具体的には、カヌーやカヤックの仕事に関する保険に協会を通じて加入できたり、事故が起きた際に弁護士の方に相談できたりします。
そういった点で、協会に属するということは多方面にみてメリットが多いと感じています。
実際に仕事にしたいと考えた時に実際にどのような働く場所があるのでしょか?
仕事にする際に、存在する環境は大きく3つあります。
組織に所属してガイドを行なったり、個人でガイドツアーを行なったりするのが一番イメージしやすいと思います。
その他にもアウトドア体験を提供しているホテルやリゾートにおいて、ホテルのスタッフとしてカヌーやカヤックの体験を提供する道もあるでしょう。
また、自然体験施設のようなところで、数多くあるアウトドア体験の一環として、カヌーやカヤックの指導やガイドをするという働き方もあり、
様々な活躍のフィールドがあります。
仕事にする上で最も大切なことは、
『自分自身がカヌーやカヤックが好きである』
ということです。
こういった仕事は自分が経験した範囲の中でしか、お客様に楽しさや素晴らしさを伝えることができません。
そのため、自分がいかに好きで、いかに多くの体験を積み、それらをお客様に伝えることができるかが大切になってくると思います。
つまり、自分がカヌーやカヤックが好きで、たくさん遊んでいるといったことが重要になってくると思います。
ただ、指導者としては、ただ楽しんでもらうだけでは不十分であり、しっかりと技術も上達させるということも大切でしょう。
どのように漕げば効率的に進むことができるの、
安全に活動を行うためにどのように道具を扱えば良いかを分析して、
お客様に分かりやすく伝えることが優れたインストラクターには必要になってきます。
そのため、『楽しむ中でたくさん考える』というのが優れた指導者に求められるスキルであると考えています。
水のアクティビティと聞くと、やはり夏の仕事がメインになるとイメージしますが、オフシーズンはどのような働き方があるのでしょう?
多くのインストラクターにとって、オフシーズンは次のシーズンに向けた『準備期間』で、
オフシーズンに自分のトレーニングをしたり、お客様を案内するフィールドを探しに行ったりしています。
やはり、アウトドアの仕事は季節に応じて繁忙期があるため、繁忙期に多くのお客様と関わるといった働き方になります。
そのため、オフシーズンでは、繁忙期になかなかできないデスクワークや、他のアウトドアに関わる仕事をする人もたくさんいます。
また、場所によってはオフシーズンがほとんどなく、一年を通してサービスを提供できる地域もあります。
例えば沖縄など年間を通して比較的暖かい場所では、一年中カヌーやカヤックに関わる仕事をすることができます。
資格を取得して仕事にすると考えた時、最短で実現するには公認スクールに通い、
そこで研修生として経験を積むのが最も効率がいいように思えますが、i-nacを通じて学ぶメリットはなんだと思いますか?
確かに『最短で』と考えた場合、公認スクールに通い、そこで研修生として経験を積むのが一番早いと思います。
しかし、i-nacで学ぶメリットとしては、
『幅広くアウトドア業界とつながっている点』
にあると思いますので、学校で学ぶことで自然と視野が広がり、公認スクールだけにとどまらず、
多くのことを学び深くアウトドアについて理解することができます。
まだ自分が絶対にこの業界で生きていくと確信が得られていない人は、i-nacに入って、様々な価値観に触れることをお勧めします。
学生生活を過ごす中で、自分の本当にやりたいことを見極めていきましょう。
私をはじめ講師やスタッフは様々な情報を提供します。
みなさんが最も活躍できる場所、一番自分らしく輝ける場所を一緒に探して行きましょう!
教えてくれた人:小野彰太
(一般社団法人 日本セーフティパドリング協会 アドバンストインストラクターカヤック&SUP、同協会ベーシックインストラクター検定員)
国際自然環境アウトドア専門学校を卒業後、大手アウトドアメーカーで勤務。現在は母校に戻りアウトドアプロインストラクター学科主任を務める。
授業や学生サポートの傍ら、生涯学習室という対外部門も担当。キャンプのプロデュースやスタッフ派遣、カヤックやSUPのインストラクター・ガイド、アウトドア関連事業の受注〜サービス提供まで幅広く行う。
「遊びを本気で仕事に」を実践中。