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2024.07.20
その人気はもはやブームから定番と言えるほどとなったウォーターアクティビティ『SUP』
そもそもSUP(サップ)とは、スタンドアップ・パドルボード(Stand Up Paddleboard)の略称で、
少し大きめのボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進んでいくアクティビティで、
1990年頃にハワイで、サーフィンの一つのスタイルとして確立されたと言われています。
日本で流行り始めた当初は、クルージングが主な楽しみ方でしたが
今では、SUPヨガ、SUPフィッシング、SUPサーフィンなど多様な楽しみ方で親しまれています。
子どもやカップルで2人乗り(タンデム)や、ペットを乗せて楽しむこともできるため
旅行先で初めてSUPをやってみたという方も多いのではないでしょうか。
さて、この記事では、S U Pの魅力はもちろんのこと、仕事や資格についても触れていきます。
【この記事はこんな方におすすめです】
今回、SUPについて教えていただいたのは、小野先生です。
小野先生には前回、カヤックについてもいろいろ教えていただきました。
記事をまだご覧になっていない方はぜひ『カヌー・カヤック編』も合わせてご覧ください!
【目次】
合わせて読みたい
『アウトドアインストラクター・ガイドになるには?カヤックの資格や仕事について』
日本国内において、S U Pのインストラクター資格を認定している組織は主に2つあります。
【日本セーフティパドリング協会】
日本セーフティパドリング協会については、前回の記事でもカヌー・カヤックのガイド資格を認定する組織としてご紹介しましたね。(カヌー・カヤックの記事はこちら)
日本セーフティパドリング協会は、1988年に設立された組織で、
日本において安全なSUPやカヌー、カヤックの普及を図り、自然環境との調和的活動を高め、さらに健全な心身の発達に寄与することを目的としています。
【日本スタンドアップパドルボード協会】
日本スタンドアップパドルボード協会も安全啓蒙や技術の向上、S U Pを通したコミュニケーションを軸に『健全な普及発展』のために活動を行なっている組織です。
また、日本国内において、行われる様々なS U Pの大会の運営などを行なっているのも、日本スタンドアップパドルボード協会になります。
SUPが日本に入ってきたのが、2000年代に入ってからであり、
古くからカヌーやカヤックの安全啓蒙、指導者認定を行なってきた
日本セーフティパドリング協会の方が安全に関する情報や指導ノウハウが蓄積されていると感じます。
そのため、i-nacでは、古くからウォーターアクティビティの安全な普及活動や指導者認定に取り組んでいた、
日本セーフティパドリング協会(JSPA)のインストラクター資格取得を目指してもらっています。
日本セーフティパドリング協会が認定しているSUPのインストラクター資格は、大きく三段階に分かれています。
【ベーシックインストラクター】
インストラクター資格の入り口としては、こちらの『ベーシックインストラクター資格』というものがあります。
この資格では限られた湖やため池のような水面が静かな場所で、加えて岸から比較的近い環境下で
SUPの基本的な操作方法、安全指導を行える指導者を認定する資格です。
【アドバンスドインストラクター】
そして、さらに発展的な資格として、『アドバンスドインストラクター資格』というものがあります。
この資格では、少し大きな湖など、もう少し岸から離れた環境で、
より高度なS U Pの操縦技術の指導や安全技術指導を行える指導者を認定する資格です。
【リバーガイド・シーガイド】
アドバンスドインストラクターのさらに先には、
『リバーガイド』『シーガイド』といった、
川や海でガイドを行える資格があります。
しかし、定番になったとは言えSUPはまだ新しいスポーツですので、
日本国内において専門的に資格を持って活動を行なっている方は少ないというのが現状です。
一部の方が川でSUPガイドを行なっていますが、多くの方々は湖や少し岸から離れた水面が穏やかな海で、SUPのツアーや指導を提供しています。
こういった点でも、SUPはまだまだ発展途上の種目であると言えますね。
また、日本セーフティパドリング協会だけでなく、
『日本スタンドアップパドルボード協会』や前回の記事でご紹介した『日本レクリエーショナルカヌー協会』でもSUPの指導者資格を認定していますので、ぜひチェックしてみてください。
SUPのインストラクター資格を取得したいと思った際にはどのようにすればいいのでしょうか?
SUPのインストラクター資格に関しても、基本的にはカヌーやカヤックのインストラクター資格の取得方法と同じで(詳しくはこちら)、
各協会が開催する指導員検定を受講していただくことで取得することができます。
各レベルによって、年間スケジュールが組まれていますので、それに参加して、必要な日数の講習を受講し、筆記試験や実技試験を受講していただきます。
主な内容としては、知識科目(講習と筆記試験)、技術科目(実技)があります。
実際には資格を持っていなくてもSUPのツアーや体験会を実施することはできます。
しかし、SUPは水辺での活動ですので、万が一事故が起きてしまった場合には死亡事故につながるリスクがあります。
SUPは比較的道具も少なく、持ち運びもしやすいため気軽にはじめられるというメリットがあります。
その一方で、波や風に弱かったり、操作性がカヌーやカヤックと比べると劣るという特徴があります。
そのため、気軽にフィールドに出ることができますが、
活動環境下でのリスクに晒されやすいスポーツであることは理解していただきたいです。
手軽さゆえに危険も伴うスポーツですので、
SUPの特性やフィールドの特徴をしっかりと理解した指導者が安全技術や操作技術を教える機会を提供することは非常に価値があると思います。
今年のi-nacの学生たちもSUPを買ってSUPをはじめる学生が多く見受けられますよね。
そういった点でも多くの人がこの夏SUPを楽しむと思うのですが、手軽な故に注意したいことはありますか?
SUPは板の上に乗って水の上に出るだけで、非日常を味わえてしまう点が魅力的です。
座ってのんびりするも良し。立って、水の上を歩いているような感覚も味わえます。
SUPは道具も比較的少なく、手軽にはじめられますが、
その一方で先ほどもお伝えした通りで、
波や風に弱かったり、操作性がカヌーやカヤックに比べて劣るため、その分リスクもあるということです。
そのため、しっかりと操作技術であったり、フィールドの特徴を事前に調べておくことは必要です。
学生の中でも、これからSUPをはじめようとする学生がフィールドに出かける際には、私も事前にヒアリングをして、必要な情報共有をするようにしています。
学生同士で、フィールドに出かけるということは、大きな実践の経験につながりますので、必要な情報共有をして、見守ることもありますが、
SUPは手軽な故に危険も伴うということを改めてみなさまには知っていただきたいです。
指導者にとって大切な心得とは何でしょう?
指導者の役割として一番大きいことは、
『より多くの人が安全にSUPを楽しめる安全啓蒙』です。
SUPはサーフィンのスタイルとして発展してきた経緯があります。
そのため、サーフィンをする際には、波を越えるためライフジャケットが邪魔になり、
ライフジャケットを身に付けずにサーフィンを楽しむ方が多くいますが、
SUPも全てがこれに当てはまると考えるのは注意が必要です。
これが淡水になった時には海とは全く状況が異なります。
やはりSUPを楽しむ上ではライフジャケットを着用していただくことを強く推奨しています。
それから、安全のための道具というものも多少異なってきます。
リーシュコード(身体とSUPが離れてしまわないようにする道具)のように
フィールドや目的に合わせて道具を変更すべきポイントもありますので、
そういった道具の観点からも安全の重要性をしっかりと多くの人に伝えていくことが指導者として大切なことです。
SUPは、他のスポーツと比べても、まだまだ発展途上のスポーツですので、
今こそ指導者が中心となって、安全啓蒙を行うことが重要になってくると思います。
SUPを仕事にするという点では、カヌーやカヤックと働き方が似ているように思いますが、
SUPに関してはどのような働き方があるのでしょうか?
SUPに関しても、確かにカヌーやカヤックの働き方と似ている部分があります。
詳しくは、前回の記事の『アウトドアインストラクター・ガイドになるには?カヤックの資格や仕事について』を見ていただければと思います。
補足として、SUPの方は、
『板に乗る』という点で、スキーやスノーボードに感覚がかなり近いということから、
冬のシーズンにスキーやスノーボードのインストラクターとしてお仕事をされている方が夏場の仕事としてSUPをされている方が多くいます。
また、SUPのいいところはある程度共通した道具で海や川、湖といった様々なフィールドに出かけられる、
『汎用性』と『手軽さ』
であると思います。
そのため、仕事でSUPをやろうと思った際にも道具を持っていれば自分たちの近場のフィールドで体験やガイドツアーを提供しやすいと思います。
しかし、その中でもしっかりとSUPに関する情報や安全技術を専門で学んでいる方はまだまだ少ないという印象を受けます。
あくまでも水の上での活動はリスクを伴うため、指導法を学び、指導資格を所有した上でこういった活動を行う必要があると考えています。
i-nacを通じて、SUPのインストラクター資格取得を目指すメリットは、
『アウトドア業界全体を幅広く見れること』です。
前回のカヌー・カヤックについての記事でも述べましたが、最短で学ぶためには、公認のスクールで学ぶことが効率的ではありますが、
まだその業界で絶対に働くと強く意志が固まっていない人にとっては、
i-nacで幅広くアウトドア業界について知り、
その中で自分の本当にやりたいことを見つけていくことをおすすめします!
【合わせて読みたい】
カヌー・カヤックの記事をまだご覧になっていない方はこちらからご覧ください。