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2024.08.11

【山の資格早わかり】登山ガイド・山岳ガイドの資格と仕事、そして魅力とは?

この記事は山が好き!山の仕事にあこがれている!そんな方へ参考になれば嬉しいです。

 

 

 

山を案内するガイドさんは「山のガイド」「登山のガイド」「登山ガイド」「山岳ガイド」などと様々呼ばれ方がありますね。

ただ日本国内で資格を発行している最も大きな組織である公益社団法人日本山岳ガイド協会では、登山ガイド山岳ガイド、は明確に区別されており、職能範囲=ガイドできる山域や内容、が違うのです。

当校では、教育機関では国内で唯一、登山ガイド資格の養成校として、山岳プロ学科で卒業と同時に資格を取得できるカリキュラムを整備しています。

 

山岳プロ学科という学科名称ですが、目指す資格は登山ガイド
山岳ガイドではないんです…。ちょっとややこしい…。

今日はこの山に関するガイド資格を掘り下げて、更にガイドの仕事やカリキュラムについてご紹介します。

 

【目次】

  1. 登山ガイド・山岳ガイドの資格の違い
  2. 登山ガイドステージⅠ・Ⅱ・Ⅲの違いとi-nacでステージⅡを選ぶワケ
  3. ガイド資格を取得して働く先はガイドだけなのか?
  4. ガイドのやりがいや面白さとは?
  5. 専門学校でガイド資格を取る魅力

 
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今回、お話を伺ったのは、i-nac(アイナック)国際自然環境アウトドア専門学校の山岳プロ学科で非常勤講師を務めている松井茂先生です。

当校がある新潟県上越地域出身で、以前は山岳専門雑誌「山と渓谷」「Rock&Snow」の編集に携わってこられました。
現在は、妙高戸隠連山国立公園を満喫するための拠点施設妙高高原ビジターセンターの館長を務めながら、i-nacの非常勤講師もしていただいています。

その経験から、様々なジャンルの登山家・ガイドさんと人脈が深く、業界知識が幅広い!長年、業界を見てきたからこそのリアルな将来へのアドバイスは学生にはとても心強いです!

 

 

登山ガイド・山岳ガイドの資格の違い


(はじめにガイドの資格の種類、そして登山ガイドと山岳ガイドの違いを教えてください。)

まず登山ガイドとは、英語表記だとトレッキングガイドとなり、一般登山道を歩いて登る、通常の登山活動をガイドする資格です。一方、山岳ガイドは基本的にはクライミングガイドと捉え、岩登りを主体としたガイド資格です。

国際山岳ガイド  
山岳ガイド ステージⅡ
ステージⅠ
登山ガイド ステージⅢ
ステージⅡ
ステージⅠ
自然ガイド ステージⅡ
ステージⅠ

表:日本山岳ガイド協会の資格種類(他にスキーガイド、フリークライミングインストラクターが独立資格としてある)

 
なぜそう分かれているかというと、山岳ガイドで必要とされるロッククライミングの技術はなかなか一朝一夕に身に付くものではなく、経験を積まないといけない。そのベースとしてまず登山活動があり、岩登りも学び、沢山の経験を積んで色々な環境に対する対応能力ができてから、山岳ガイド資格を目指してもらいたいとなっています。

早い人でも30代半ばくらいからでないと合格するのが難しい資格で、年に一人や二人の合格者といった状況です。

 

i-nacはまずその入り口として登山ガイドステージⅠまたはステージⅡの資格を取得しています。ただ全く岩登りをしないかというとそうではなく、将来、山岳ガイド目指すという人にもつながるよう、最低限の安全確保ができる知識・技術を授業内容に含んでいます。

 

登山ガイド資格の中でもステージⅠ・Ⅱ・Ⅲと分かれている。


前でお伝えしたとおり、i-nacでは登山ガイドの資格の中でも、ステージⅠまたはステージⅡの取得を目指しています。

登山ガイドは、ステージがⅠ・Ⅱ・Ⅲと分かれていて、山岳ガイドは、ステージがⅠ・Ⅱと分かれています。
(※ちなみにステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ…数字の読み方言い方はワン・ツー・スリー)

 

ざっくりお伝えすると、活動エリアはステージⅠは雪山ができない、Ⅱは雪山ができる、ⅢはⅡと比較してもう少し広がり、例えば剣岳の一般道、沢登りなど、バリエーションルートに近い活動ができるようになります。またいきなり試験を受けれなくて、Ⅱを取得してから実務経験が必要です。

 

種類 活動エリア
登山ガイド ステージⅢ 無積雪期の一般登山道。登山地図の実線、破線で示されたコース。
東北、北海道などのテント泊や避難小屋を利用する縦走コース、容易な沢登りコースなど。
積雪期は、山小屋から日帰り可能な容易な雪山登山。
ステージⅡ 無積雪期の一般登山道。登山地図の実線で示されたコース。破線、難路と示された登山道は除く。
沢登りはできない。
積雪期は、森林限界を越えないで、ロープウェイなど冬季も開設されている施設から2~3時間の日帰りできる範囲。
ステージⅠ 無積雪期の一般登山道。登山地図の実線で示された登山道。破線、難路と示された登山道は除く。
沢登りはできない。

表:登山ガイド資格のステージ別活動エリア

ただ国内のガイド活動を見ると、例えばツアー会社や旅行会社が催行している登山ツアーの大半は、登山ガイドステージⅡの資格であれば対応できるものです。

言い換えると、仕事量が一番多いのは登山ガイドステージⅡの資格で受けれる仕事。Ⅱを選択している理由の一つがここにあります。

i-nacは専門学校なので、まずは卒業して就職し生計を安定させながら、自分の登山活動を充実させていくのが理想かなと思っています。生計が苦しくなると自由が制限されてしまうので。

例えば学校に来てくださる講師の中には地道なステップを経て今の位置に到達している方も多くいらっしゃるので、ゆくゆく山岳ガイドを目指している在校生もいますが、収入をしっかり確保した上で進むことをアドバイスしています。

また、実はこれまでi-nacでは、ステージⅡの資格取得を目指したカリキュラムのみでしたが、「雪が降るエリアで活動はしない」という学生のリクエストに応える形で2024年度よりステージⅠの取得も可能になりました。
ステージⅠを取得するかステージⅡにするかは入学後に選択できるので、山のことに少し詳しくなってから、将来のビジョンが見え始めてから決めることができるので安心です。

 

ガイド資格を取得して働く先はガイドだけなのか?


(次に資格を取得した上での進路について、先生はどうお考えですか?)

資格を最大限に生かしたガイドの仕事に卒業後いきなり就く、というのは実は難しいです。いきなり独り立ちが難しいのはどの業界でも同じかと。

ではなぜ資格をとってもらうのかというと、日本山岳ガイド協会は国際ガイド連盟に所属しており、そこが保証している登山に対する知識や経験、安全管理能力、ガイディング能力等が一定水準以上にある、ということを資格は証明してくれるものです。

例えばメーカーや専門店、様々なアクティビティ会社の方が採用を考える時に、ガイドを資格を持っているのね、ある程度できるね、ということをすぐ理解してもらえるという点が大きいと思います。

 

進路実績としてはこのような先があります。

・登山/山岳専門のガイド会社
・登山やトレッキングなどを取り扱う旅行会社
・バックカントリースキーやスノーボードのガイド会社
・ラフティングやシャワークライミングなどのガイド会社
・アウトドアメーカー/専門店
・ビジターセンター
・観光案内所

 

社会人入学生が中心ですが、卒業後に登山ガイド事務所を起業した人もいます。また登山ガイドの仕事をメインに、登山道整備やパトロール、撮影等の歩荷、環境調査や林業、スキー場の仕事など、様々組み合わせている人もいますよ。

一生、山に携わっていくベースのスキル、パートナーなど人脈が、学校や資格取得を通じて大きく得られるものでもありますね。

 

ガイドのやりがいや面白さとは?


(続いて先生は授業を担当する他に、登山ガイドの仕事もやってらっしゃいますが、実情を教えてください。)

まず月並みですがお客様に喜んでいただけた時にやりがいを感じられる職業です。無事に登頂して帰ってこれた時に、「楽しかった」「よかった」「一人じゃこれなかった」「また来ます」そんな言葉をいただけると本当に嬉しいですね。

ガイド中はやはり何が起きるかわからない緊張があり、笑顔ながらも内心ドキドキすることは多々あるので、最後無事に下りてきてみなで電車に乗る時なんかは、本当に良かったと思いますしほっとします。

 

収入面では年による差がありますが、例えばこの時期は自分のスキルをあげるために集中的に山行を積もう!学ぼう!
一方でこの時期は集中的に仕事をしよう!など、ワークライフバランスがとりやすいという点はあります。

 

専門学校でガイド資格を取る魅力とは?


(最後に資格を取る道はi-nacだけではありませんが、先生が感じるi-nacのカリキュラムの魅力やポイントを教えてください。)

資格は日本山岳ガイド協会が実施している筆記試験、複数の実技検定試験、義務講習会を経て、個人で取得することができます。

ただ試験を受けるにも、例えば通算120日以上の登山経験を有し、そのうちに厳冬期での積雪期登山経験が20日間以上を有する(※登山ガイドステージⅡの場合)など、クリアする経験・技術がありますので、個人で何もないところから取得を目指すと結構大変。
一年では受からずに数年かけてという話を聞くこともあります。

 

学校に入学すると学費等かかりますが、もれなくやらなきゃいけないことはカリキュラムに含まれているので、個人でやるよりはしっかり体系立てて学び取得することができるでしょう。地球環境や動植物の授業もあります。

また講師であるガイドの方々は熱意があり、エベレストへお客様をご案内した経験が豊富な方、自然や民族・文化の解説で沢山のお客様がついている方、などなど、学校に来なかったらこれだけの方にお会いして話を伺うのはなかなかないと思います。

そして何より妙高のフィールドが魅力的です!四季の変化が豊かで、色々な季節の山岳活動ができること、そして地形的に穏やかな山域で練習環境としては抜群です。

実は北アルプスや南アルプスなど日本を代表する山岳エリアにも近く、これらが授業エリアに入るのは便利な点です。

 

卒業後、妙高やお隣の長野県北部地域に拠点を選ぶ、数年して戻ってくる、そんな人もたくさんいますよ。

 

まとめ


今回お話を伺ったり、日頃授業運営や学生指導をする中で、先生方は遭難や事故が起こらないようにという点を強く強く持っている、この当たり前の思いが印象的でした。

ガイドの資格を取るということは山の仕事をする上での出発点になると共に、体系立てて知識・技術を学び経験を積む、これが自分自身の命を守ることにもつながると感じます。

より深く自然の世界へ分け入っていく、そして一生続けていく安全のベーススキル、これを持つことでワークだけでなくライフにおいてもその後の人生、そして世界が輝いていきそうです!

 

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